外国人雇用

【外国人雇用】外国人雇用のための就労ビザ取得の方法(完全版)

外国人就労ビザのエキスパートに聞いた就労ビザ取得Q&A

日本の会社で外国人を雇用する際に必要な就労ビザの取得方法。

今回は、外国人就労ビザのエキスパート、行政書士の大東さんに、
外国人の就労ビザについて聞いてみました。

大東圭氏のプロフィール(就労ビザ専門行政書士)

行政書士大東法務事務所は外国人従業員の雇用や海外の親会社等からの外国人出向者の受入を行う日本法人向けの就労ビザ申請・相談業務に特化したサービスを提供。

以下のような幅広い業種の上場企業、中小企業、外資系企業、個人事業にサービスを提供し、年間300件を超える申請をサポートしています。
電力・エネルギー/IT・AI/経営コンサルティング/NPO/映像制作/アパレル/教育/人材紹介/マスコミ/ゲーム/ホテル/観光/不動産/アニメ

それでは、大東さん、よろしくお願いします。

 

外国人雇用のための就労ビザの種類

質問

外国人を雇用できるビザは、どんな種類がありますか?


外国人をフルタイムで雇用する場合、一般的な就労ビザは、
技術・人文知識・国際業務ビザとなります。

営業、人事、経理、広報、マーケティング、各種コンサルティング、技術開発、通訳・翻訳、貿易等多くのいわゆるホワイトカラー職種に技術・人文知識・国際業務ビザにて従事可能です。

外国人を雇用する場合、技術・人文知識・国際業務ビザ以外に
主だったものとして以下のビザに該当するケースがあります。

技術・人文知識・国際業務ビザ以外の就労ビザの種類

  • 「経営・管理」ビザ
    *取締役や一定程度の規模の部門長として雇用する場合
  • 「高度専門職1号」ビザ
    *技術・人文知識・国際業務ビザの上位版のビザ。技術・人文知識・国際業務ビザが取得対象となるケースで内定者の方の学歴・職歴、労働条件等が一定程度を超える場合取得が可能となります。一律5年のビザが許可されるといったメリットがあります。
  • 「特定技能」ビザ
    *上記の各ビザと異なり、工場や建設現場での作業等現業に従事するためのビザです。

と、雇用される外国人の状況により、就労ビザが異なります。

今回は、一般的な就労ビザである技術・人文知識・国際業務ビザを前提にご案内します。

 

外国人の雇用条件に関して

質問

外国人の雇用に必要な条件は何ですか?

技術・人文知識・国際業務ビザを取得するための内定者(外国人)側の要件は以下となります。

内定者(外国人)側の要件

  • 学歴
    *日本の専門学校を卒業、または、日本国内外の短期大学・大学・大学院を卒業していることが原則として必要。
  • 職歴
    *「1.学歴」の要件を満たさない場合、学歴の代わりに一定年数の職歴を有することが必要となります。
    この職歴要件を利用する場合、原則として日本の法人で従事予定の業務と関連する業務に10年以上従事していること。また、前職発行の退職証明書等で職歴年数を立証する必要となります。
    例外的に翻訳、通訳、語学の指導、広報・宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発やこれらに類似する外国人としてのバックグラウンドが業務上求められる業務に日本の法人で従事予定の場合、職歴年数は10年ではなく3年で認められます。
    なお、教育機関に在学中のアルバイト等は職歴年数にカウントすることができず、基本的にはフルタイムで従事していた年数を職歴の計算に含めることが可能です。
  • 過去の素行
    *過去に虚偽のビザ申請や不法就労を行ってしまった方等については他の要件を満たしていたとしてもビザ申請が不許可となる可能性があるため留意が必要です。

技術・人文知識・国際業務ビザ取得のための内定者側要件のうち学歴については、日本と学位制度が異なる国が存在し、学士等と異なる学位が授与されているケースが多くあります。

学位の名称が異なる場合でも学士相当・修士相当等として学歴要件を満たすと判断される学位も多くありますが、学位レベルについて出入国在留管理局に説明する必要があります。

内定者の方の保有する学位が学士等と異なる学位の場合、学歴要件を満たすか否かは個別で判断が必要となりますので、ビザ申請の専門家である行政書士・弁護士に事前にご相談頂くことをおすすめします。

以上の事以外で、企業側が注意しておかないといけないことは、

ココに注意

従事予定の業務が技術・人文知識・国際業務ビザの範囲内であること

いわゆる単純労働と呼ばれる学識を要しない業務につきましては、
技術・人文知識・国際業務ビザで従事が認められない業務となります。

留学生の方が在学中に行っているアルバイトの業務の多くはこの単純労働と判断される可能性が高いです。

日本国内外の短期大学・大学・大学院を卒業している外国人に関しては、大学等での専攻内容と直接関連性のない業務であっても単純労働でなければ幅広い業務への従事が認められる可能性があります。

一方、大学等を卒業しておらず、日本の専門学校のみを卒業している専門士学位保有者の方については、専門学校での履修内容と直接関連性のある業務にしか従事が認められませんため留意が必要となります。

前述のとおり、上記のいずれの学位も有しない場合でも一定年数の職歴で学位要件を代替することが可能なケースがありますが、その場合も職歴と日本で雇用される法人での従事予定業務内容が関連性があるものであることが要件として求められます。

ポイント

従事予定の業務内容につきましてはビザ申請に対する審査上重要なポイントです。

申請時に提出する書面上で詳細を説明する必要があるでしょう。

 

給与待遇面に関して

質問

中小企業や個人でも外国人を雇用することは可能ですか?
何か条件などありますか?(資本金、業務内容など)

中小企業での外国人雇用でも技術・人文知識・国際業務ビザの取得が可能です。

また、法人格を有しない個人事業での外国人雇用でも、
技術・人文知識・国際業務ビザの取得は可能です。

個人事業での技術・人文知識・国際業務ビザの取得の際は法人での雇用と比べて事業の実態を説明する必要があるため提出書類は法人での雇用と比べて多くなります。

法人・個人事業いずれで雇用する場合でも内定者が従事予定の業務が技術・人文知識・国際業務ビザの範囲内であることが求められます。

 

質問

給料は、どのくらいに設定すればいいでしょうか?

最低限月給(額面)20万円程度として頂くことをおすすめします。

法務省が公開している基準で技術・人文知識・国際業務ビザを取得するための要件の一つとして日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることが挙げられておりますが、明確な最低額は公開されておりません。

日本人の4年生大学卒業生の新卒採用における初任給が月額20万円程度であり、弊所の経験上も月額20万円であれば報酬要件について出入国在留管理局から追及を受けたことはありません。なお、この月給(額面)には非課税となる手当等は含まれません。

 

質問

日本人の雇用と比べて、外国人を雇用する時の違いは何でしょうか?

日本人雇用と比べた主な相違点としては、ビザ取得が必須となることです。

なお、ビザには有効期限(技術・人文知識・国際業務ビザであれば最長5年)があるため、雇用を継続する限りビザの更新手続き(在留期間更新許可申請)が必要となります。

また、日本での就職が初めての方については労働条件について十分に説明することで休暇の取り方や賃金からの社会保険料控除等について入社後の見解の相違によるトラブルを防ぐことができると考えます。

さらに詳しく

外国人の場合、年に1回は、母国に帰りたいという人もいるため、1~2週間ほどの長めの休みを取ることを希望する人がいます。休暇に関してある程度、融通を利かせることで離職率の低下や満足度にも繋がるため、是非、採用時、考慮してみてください。

 

外国人を雇用するメリット

質問

外国人を雇用するメリットは何でしょう?

弊所がクライアント(外国人を雇用する法人)から伺ったメリットとして多いのが、日本人内定者では確保が困難な語学力の高い人材や優れた専門知識・学識を有している人材を確保することができることです。

海外と取引を行う法人や外国人をターゲットにした人材紹介、教育、不動産、旅行、マーケティング等事業を展開する法人では日本の教育機関に留学し日本語・外国語双方を使いこなせる人材を確保できるメリットがあります。

また、弊所クライアントにも多いですが、ここ数年ITやAI(人工知能)の開発等を行う法人での専門的知識・学識を有する外国人雇用が増えています。

特にAI(人工知能)については欧米の大学・大学院等で専門的な学習・研究を行ってきた人材を確保することで即戦力として採用することができるメリットが高いようです。このように人数の限られる日本人では即戦力採用が困難なケースでも採用の目を世界に向けることで優秀な人材を確保することができるメリットが挙げられます。

 

外国人を雇う時の手続き

質問

外国人を雇う時の手続きは、どんなものになるでしょうか?

日本語学校、専門学校や大学等日本の教育機関に在学している留学生、卒業生等既に日本に居住し有効な在留カードをお持ちの外国人の方をフルタイムで雇用する場合、雇用開始前に技術・人文知識・国際業務ビザにビザを変更する必要があります。

ビザの変更のために内定者の日本国内での住所を管轄する出入国在留管理局に対してビザ変更のための申請(在留資格変更許可申請)を行うことになります。入社に向けたその他の手続き(社会保険への加入等)については日本人内定者と同じ手続きが必要です。

また、これから来日予定の方で海外居住の方を日本に招へいし日本で勤務してもらう場合、原則として雇用する法人の登記上の本店(本社)を管轄する出入国在留管理局に対して在留資格認定証明書交付申請を行って頂き、発行された在留資格認定証明書を日本から内定者に国際郵便等で送って頂き、内定者にて現地日本国大使館/総領事館で来日のための手続き(査証申請)を行った後来日・日本での勤務を開始することとなります。
*2022年1月現在新型コロナウイルス水際対策のため外国人の新規来日は一時的に停止されております。

 

就労ビザ申請を行政書士に依頼する場合

質問

もし手続きを行政書士や専門家に任せた場合、費用はどのくらいかかりますか?

依頼する行政書士・弁護士によって費用が異なりますが、ご参考までに弊所では東京出入国在留管理局に対して行う既に日本に居住している留学生・卒業生等の留学ビザ等から技術・人文知識・国際業務ビザへの変更申請(在留資格変更許可申請)は総額94,640円(出入国在留管理局に納付する収入印紙代込み)にて承っております。

また、海外にいる方の新規入国に向けての東京出入国在留管理局に対する申請(在留資格認定証明書交付申請)につきましては総額113,300円にて承っております。

必要書類の法人・内定者へのご案内、申請書や添付書類のドラフト作成、出入国在留管理局への申請代行、審査期間中の出入国在留管理局対応(審査状況の確認、追加書類の提出指示があった際のアドバイス)等がサポート内容に含まれており、ビザ申請についての法人・内定者双方の負担軽減に役立つものと考えます。

もし、就労ビザについて質問したいという方は、ご相談ください。「海外起業家’s EGG」を見たと言っていただければ、初回の相談は無料にさせていただきます。大東さんに相談する

最後に

今回、分かりやすく知ってもらうため、できるだけ分かりやすくし、難しい用語など極力排除したつもりです。ただ、もっと詳しく知りたい方は、是非、入国管理局のサイトで確認してもらえたらと思います。

 

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