海外起業家(北米編) 海外起業家インタビュー

海外起業家インタビュー(北米・カナダ編)滝澤修さん

滝澤修さんへのインタビュー

1967年 長野県千曲市生まれ。松商学園高校卒業、日本体育大学 卒業。
PTA Consulting Ltd. 代表取締役(カナダ・バンクーバー)PTA Consulting Ltd.

Q1: 現在、どんなビジネスをされていますか?

カナダのバンクーバーにて、カナダでの個人起業に関するビジネスコンサルティング業務、カナダの不動産を活用した資産保全ファイナンシャル業務、カナダ産ワイン輸出販売業などの会社、PTA Consulting Ltd を経営しています。

 

Q2: 起業したきっかけは何だったのでしょうか?

私は、両親親族一同が商売をしている典型的な商人の家で育ちました。戦前の満州に渡った祖父母は、満州で事業を展開していましたが、 敗戦後、裸同然で帰国し、再びゼロの地点から商売を興しました。その祖母に育てられた私は、幼い頃から商人の教えを徹底的に教育されました。

商人(ビジネスマン)として、必要なことや、やってはならないことなど、 今にして思えば大変ありがたい家庭教育(商人教育)を受けてきたと思います。 小学生のころから、大人になったら自分で商売を興すんだ!という思いを抱いていました。

24歳のときにワーキングホリデーでカナダに滞在中、その当時考えた商売を興すために会社を設立する直前まで 計画を進めていた私でしたが、バブル崩壊後の経営難に陥っていた長野県の父の会社に身を置くことになりました。

しかし、業界自体が斜陽していたこともあり、30歳のときに自主廃業という結末を迎え、 仕事も立場も収入も全て無くなりました。この時点でフリーになった私は、どうせどこかで働くなら、 最初から自分で起業したほうが、例え結果がどうであっても自分自身に納得できると思い、迷わず起業の道に進むことに至りました。

 

Q3: なぜ、カナダで起業しようと思ったのですか?

24歳のときにカナダで起業する直前まで準備をしていたこともあり、 そもそも起業するならカナダでスタートしたい、という思いを持ち続けていたからだと思います。

 

Q4: 最初の起業資金はいくら必要だったでしょう?

特に起業の資金ということではなく、カナダに移住してからの生活費と合計になっていました。 初年度にかかった生活費を含めた合計額が、おおよそ250万円ほどだったと思います。

 

Q5: カナダでビジネスを行う際に困ったことは何でしょうか?また、起業する際の注意点は?

ビザの問題をどうクリアするか?これに尽きます。

具体的には永住ビザを取得しないと、起業することも、生活することも、法的に認められません。 しかし、永住ビザの取得は大変ハードルが高く、取得条件を満たすこと自体、 簡単なことではありません。ただし、不可能ということもでありません。

起業(移住)当時の私は、とても永住ビザを申請できるだけの条件を持ち合わせていませんでしたので、 考えに考えた末、かなりリスクの高い方法を選択しました。

(1) 最初にカナダに会社を設立する
(2) カナダ人もしくは永住ビザ保持者を最低人数雇用する義務を果たす
(3) (1)と(2)を整えた後、就労ビザの申請をし、就労ビザを取得する
(4) 事業実績を造り上げ、その実績をもとに永住ビザを申請する

というものでした。つまり、永住ビザを取得するための要件を満たすために、起業をスタートしたわけです。 起業した後の事業実績が芳しくなければ、永住ビザの申請もできず、当時1年更新だった 就労ビザの更新を移民局から拒否されたら、国外退去処分と同等の扱いになってしまいます。

起業した後、最終的に永住ビザが取得できるまで5年かかりましたが、 この5年間は常に永住ビザ取得に対する不安を慢性的に抱えていた状況でした。

海外で起業を目指す場合、必ず最初の大きな壁として立ちはだかる問題が永住ビザの取得方法についてです。 これはカナダに限らず、世界中の全ての国で共通していることです。

起業資金として、5000万円以上を用意できる方であれば、ビジネス永住ビザという取得方法を選択できますが、 そうした大きな額を用意できない方の場合は、私が行ったような100%確証が持てない方法でチャレンジする以外に方法が無いというのが実情です。

 

Q6: 起業してよかったと思うことは何ですか?

自分が理想とする会社経営を造り上げることができるということと、 自分が求める人生の形を求めながら、具体的に形にしていくことができることです。 また、私は仕事柄、日本への行き来が多いので、仕事と称していつでも日本に行くことが出来ますから、 いつも新しい出会いに恵まれ、結果として多くの人脈を育むことができるようになりました。

 

Q7: もし、今のビジネス以外に新らしくカナダでビジネスをするとしたら、どんなことをしたいですか?

ひとつの業種や職業、経験したことのある業種や職業にはいっさい捕われていません。 ビジネスは商売であり、それを形作るのが商人ですから、商人として刺激を受けるものであれば、 これからも業種を問わずにチャレンジします。

 

Q8: 最後に、これから起業しようと思う人たちへのメッセージをお願いします。

起業する人には、大きく分けて2つのタイプが存在すると思います。

(職人タイプ)
特定の業種の経験が豊富で、専門的な知見を持っている人。

(商売人タイプ)
商売のチャンスに魅力を感じ、職種や業種の垣根に捕われない人。

両者は全く異なりますが、どちらが良い悪いということではありません。 大切なのは、自分はどちらのタイプか?を明確に理解することです。 職人タイプの人が、商売人タイプのような起業をしても成功しないでしょうし、 その反対もまた同じです。

また、起業する人は、次代を見つめる目を養うことが必須だと思います。 具体的には、今現在から1年後、5年後、10年後の世界がどうなっているのか? どうなっていくのか?を想像し、考える力です。現代は、目まぐるしく情勢や状況が変化します。 政治も経済も、果ては自然環境も含めて、昨日まで通用していたことが、一夜にして通用しなくなってしまうということが多々ありますし、 今後もますますそうした状況が続くでしょう。その時に求められるのは、決断と行動です。

決断とは・・・ 辞める勇気
行動とは・・・ ふたたび新しい起業をするアクション

ということです。

起業したからといって、それがゴールではありません。また、起業した後に、業績を安定化させることが目的でもありません。 なぜなら、一夜にして通用しなくなることがあるからです。そうなったときに、困り果てて頭を抱えていても意味がありません。 頭を抱えていないで、ふたたび起業してしまえば良いのです。

最初の起業のときは、すごく勇気が必要です。
2回目の起業は、最初の半分くらいの勇気でできます。
3回目の起業は、さらにその半分で済みます。
4回目の起業は、またさらにその半分です。

私自身、カナダに移住して以後、6回ほど起業を繰り返しています。 これは、サラリーマンで言うなら、転職と同じだと考えれば分かりやすいと思います。

 

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