小坂孝樹さんへのインタビュー
東京都出身。慶応義塾大学卒業後 株式会社リクルート入社。ヘッドハンティングされ20代で貿易商社設立の為渡米。 1991年 Universal Connection Inc. (UNI-CON Inc.)設立、代表取締役就任。日米を中心としたグローバルビジネスを展開。 1996年 株式会社 UNI-CON JAPAN 設立 代表取締役就任。 2003年 アメリカ情報サイト“おでかけUSA”スタート。 2005年 シカゴ地域情報誌 “Qマガジン” 買収。 現在シカゴ郊外にて妻と娘との3人暮らし。 下記団体に所属し、米国進出企業のマーケティング・コンサルティングを中心に企業の成長・発展のお手伝いをしています。 |
Q1: 現在、どんなビジネスをされていますか?
アメリカのシカゴを本拠点としUniversal Connection Inc. (UNI-CON INC.)という会社でマーケティング、コンサルティング、アドバタイジング事業を展開しています。マーケティング・コンサルティングは主に航空会社、電信会社、ゲームメーカー、フードビジネスなどサービス産業向け B to C ビジネスを中心としています。 アドバタイズでは米系、アジア系、日系の広告代理および制作業務の他、地球の歩き方、Wall Street Journal Japan など日本メディアの広告代理、自社メディアとして“おでかけUSA” “Qマガジン”があります。
Q2: 起業したきっかけは何だったのでしょうか?
株式会社リクルート在籍中に担当していた文具メーカーの社長からアメリカに販売会社を設立したいと相談を受けました。丁度文具業界が電子化される時代です。当時広告事業部で営業を担当していた私は人材採用に関わる企業コンサルタントもしておりましたので、アメリカ進出に適した人材を社内外から選出するお手伝いをしました。 そんな中私自身に白羽の矢が当たってしまったのですが、丁度その頃リクルート事件もあり、新しい事業部に異動したばかりでしたから丁重にお断りしました。しかし先方の社長から随分と気に入って頂いたようで、私の為にアメリカ進出を1年待つとまでおっしゃって頂きました。入社当初より独立志向は高かったので、 いずれ独立して起業するのであれば日本でやるよりアメリカの方が面白いと思い、お誘い頂いてから1年後にアメリカ進出の責任者として渡米しました。
今から思えば 全く知らぬ地で、未知なるマーケットに進出し起業するなど、随分無謀なチャンレンジをしたものだと驚きます。今の私が当時の私をコンサルしたら、止めておきなさいと言うかも知れませんね(笑)
Q3: なぜ、アメリカで起業しようと思ったのですか?
前述の通りアメリカで起業するきっかけを頂きました。設立した会社は日本製電子文具のアメリカでの販売会社でした。そこで言葉も文化もビジネス慣習も違うアメリカでの生活がスタートしたのですが、一緒に働いていたアメリカ人から「日本製が優れた商品である事も分かるが、アメリカ製品にも素晴らしいものがある。 それを日本に紹介して欲しい」と言われました。全くその通りだと思った私は早速新しい事業部を立ち上げる予定でしたが、残念ながら社内調整がつかず、それならば自己資本で別会社としてアメリカ製品を日本に紹介するビジネスをしようと設立したのが現在のUniversal Connection (UNI-CON ) Inc. です。 その後、多くの方々のご協力やご縁で新しいビジネスチャンスを頂き、その都度事業化していきました。一見繋がりのないような事業展開ですが、私の中では全てが社名の Universal Connection のもと一つに繋がっています。
Q4: 最初の起業資金はいくら必要だったでしょう?
最初の貿易商社が 1,000 万円。 UNI-CON INC. は300万円だったと思います。
Q5: アメリカの起業環境について教えてください。
アメリカは起業を推奨しています。VISAの問題が大きな壁となりますが、日本のように起業して失敗したら人生の敗者的な考え方は全くありません。逆に失敗するのは当たり前、成功したらそんな素晴らしい事はないじゃないか という発想です。
ただし日本人が異国で起業する場合 日本で起業する以上の苦労がある事は覚悟しておくべきです。ビザを含め、会社設立、雇用、契約関係など法的問題をクリアにするためには、それぞれの分野で信頼出来る専門家が必要となります。
Q6: アメリカでビジネスを行う際に困ったことは何でしょうか?また、起業する際の注意点は?
大きく分けて3つあります。
1つは言葉の壁
2つ目は雇用、法的な問題も含め習慣の違い
3つ目は就労ビザの問題です。
これらを克服するには弛まぬ努力と信頼出来る協力者が必要です。
Q7: 起業してよかったと思うことは何ですか?
アメリカは歴史が浅い為、新規開拓の余地が充分にあります。しかし、その一方で一度出来上がったマーケットを新たに掘り起すには相当なエネルギーとマーケティング力が必要となります。そういった意味では大きなチャンスがあり、やりがいがあります。
例えばスターバックスなどはコーヒーマーケットに新たなフィールドを築き上げた代表的な企業だと思います。数年前まで 「コーヒーを冷やして飲むなんて気持ちが悪い!」 と言っていたアメリカ人が今やスターバックスのアイスラテを飲むのがトレンドにまでなっています。 Google や Facebook のようにアイディアとテクノロジーで新規マーケットを開拓するチャンスも大いにあります。私のビジネスにはいくつかの事業部がある関係で色々なジャンルの方々とお会いする機会が多く、職種・業種だけではなく、人種、年齢、性別を越えて素敵な方々と出会い、 ビジネスが出来る事が大きな魅力です。その為に幅広い知識と会話能力が求められます。言葉は勿論の事、専門知識から雑談まで相手や状況に合わせた対応をする為に日々勉強です。その成果として我々の企画した提案がその会社、広い意味でアメリカに受け入れられた時には何とも言えない喜びがあります。
Q8: もし、今のビジネス以外に新しくアメリカでビジネスをするとしたら、どんなことをしたいですか?
やはり日米の架け橋になるようなビジネスをしたいと思います。
アメリカは Google や Face Book に代表されるように Oから創造していくアイディアで起業する人が多い国です。日本人が不得意とする分野ですから、同じ土俵で勝負をする必要は全くありません。 自分の得意とする分野でビジネス展開し、そこに日本人としての繊細なアイディア・エッセンスが組み込まれると成功のチャンスは広がると思います。
Q9: 最後に、これから起業しようと思う人たちへのメッセージをお願いします。
起業するには 起業するための商材・アイディア、それをどうしてもやるんだという信念、そしてそれを支える情熱が必要です。
商材・アイディアに関しては、出来れば事前にマーケティングをする事をお薦めします。私は起業した時に色々な人達に助けられました。メンターや信頼出来る優秀なコンサルタントがいると、南極で氷を売るような難しいマーケットに飛び込むリスクを避ける事が出来ます。 起業する事は少しの勇気があれば誰にでも出来る事ですが、経営を発展・維持し続ける事はとても難しい事です。それをしていくには揺るがない信念と情熱が必要です。 そして起業は1人でも出来ますが、経営は1人では出来ません。自分を磨き、高め、この人とだったら一緒に仕事がしたいと思ってもらえるような仲間とクライアントがどれだけ創れるかによって経営規模が決まってきます。
私はラッキーな事に人材には大変恵まれています。会社設立当初 「アメリカでもアメリカンドリーム実現に向けて起業する若者が少なくなった時代に、日本から来た若者が異国の地で成功したいという。その夢に自分も掛けてみたい。」と言って設立から半年程無給で働いてくれたアメリカ人がいました。彼や現在のスタッフ、お客様を含めご協力頂いた多くの方々のお陰で今の自分があると思っています。 ただ会社を興したい、社長になりたいといった単純な思いではなく、何故、何の為に起業するのかを真剣に考えてからスタートして欲しいと思います。夢はいつまで経っても夢です。「いつまでにやるか」という目標が決まった時に夢は現実になって動き出します。大いなる夢と高い目標を持って挑んでください。