海外起業家(アジア編) 海外起業家インタビュー

【海外起業家インタビュー】中央アジア・ウズベキスタンで起業「ウズベクフレンド」:重村俊雄さん

重村俊雄さんへのインタビュー

1999年 同志社大学法学部政治学科卒業。卒業後、上海行きの乗船券を購入し、そのまま上海へ。 上海から西進しロンドンまで、ユーラシア大陸を陸と海だけで横断。 以降、バックパッカーとして、世界各所を徘徊しつつ、事業を始めるようになる。 貿易を行い、日本市場に商品をインターネット販売し始めたことを契機に、 クロスボーダーでのインターネット事業をスタートさせ、現在に至る。

事業:ウズベクフレンズ(ウズベキスタンの情報、サービスの提供)

Q1: 現在、どんなビジネスをされていますか?

弊社はアースウォーカートレーディング株式会社と申しまして、インターネットを使って幾つかの事業を行っています。ウズベキスタンでは2つの事業を行っています。

まずひとつめは、「ウズベキスタンに来る日本人向け」の事業です。ビジネスで来られる方にも、観光で来られる方にも便利なサービスになっています。 ウズベクフレンズというサイトをハブにして、サービスを提供しています。

もうひとつは、ウズベキスタン在住のロシア人モデルを使って、日本や東南アジアにモデルサービスを提供しています。モデルファクトリー というサイトで、事業を行っています。

 

Q2: 起業したきっかけは何だったのでしょうか?

元々「会社に就職して仕事をする」という意識があまりなく、正直なところ会社員になるという選択肢自体が希薄でした。 大学を卒業後、世界中をウロウロして、何をするべきか、どうやって生きていけばいいか、などと考えてました。 生活のために幾つか仕事もしましたが、結局父親のやっていた事業を手伝い、その流れで独立しました。

初めは海外の産業機械を営業していたのですが、それらをインターネットで販売するようになりました。 インターネットでの販売が軌道に乗り、それ以降はインターネットを利用した事業にシフトしました。

 

Q3: なぜ、ウズベキスタンで起業しようと思ったのですか?

当初ウズベキスタンには旅行に行ったのですが、その時にすごく可能性を感じました。 労働者の賃金が周辺国と比較してとても安く、雇用機会も少なかったからです。ウズベク人だけでなく、ロシア人も同様でした。 ロシア人は一般的に美男美女ですので、モデルになってもらえば、日本にいる外国人モデルよりも安くコンテンツを作ることが可能になると思いました。

そうしてモデルの事業を行っていた際、ウズベキスタンに何年も住んで、現地の大学で日本語を教えてる先生にお会いし、一緒に日本人向けのサービスをしようという話になりました。 ウズベキスタンに関する情報は少なかったですし、仕事や旅行で訪れても困ることがとても多いので、事業化することに決めました。

 

Q4: 最初の起業資金はいくら必要だったでしょう?

モデルの事業に投資した金額も、ウズベキスタン情報サイトに投資した金額も、日本円で100万円程度かと思います。

 

Q5: ウズベキスタンで日本人が起業することは難しいと聞いたのですが、現状の現地起業の様子を教えてください。

技術的には法人設立はできるようです。しかしながら、JETROで話しを聞くと、現地法人を設立している会社は2社程度で、それも起業という形ではありません。 大手商社なども全て「駐在員事務所」という形で事業を行っています。これは、ウズベキスタンの商慣行や不明瞭なルールによるためと思います。

ただ、現地企業とアライアンスを組んで事業を行うことは可能です。
例えば、モデル事業の場合は、現地フォトスタジオと提携していますし、情報サイトの方は、現地のホテルや旅行会社と提携しています。 ウズベキスタンでの起業を考えるなら、現地パートナーを見つけることが近道だと考えます。

 

Q6: ウズベキスタンでビジネスを行う際に困ったことは何でしょうか?また、起業する際の注意点は?

困ることは商慣行です。

現地の人々はのんびりしており、時間を守らないことも多々ありますし、仕事でこちらの要求する基準をしっかりと理解してくれません。 具体的な解決策は色々ありますが、最も大切なのは人を見て信頼できるかどうか確認することが大切です。 「人脈」を築いたり、「付き合い」を大切にしたり、「根回し」を、行っていくべきでしょう。

 

Q7: 起業してよかったと思うことは何ですか?

全ての意思決定を自分で出来ることです。

 

Q8: もし、今のビジネス以外に新たにウズベキスタンでビジネスをするとしたら、どんなことをしたいですか?

実は今やっていることが面白いのと、ウズベキスタンの情報を発信して、日本とウズベキスタンの心理的距離を狭めたいと思ってますので、別事業を考えても今の事業を続けたいと思ってます。

ウズベキスタンの人々の所得は低く、人口も少なく、市場としての魅力は全くありません。 さらに、ウズベキスタンはユーラシア大陸の中心にあり、陸の孤島です。2カ国を通過しなければ、海に出られません。 港にコンテナをつけて貿易をするようなことは出来ず、モノを送るときは基本空輸になります。 ですので、ビジネスを行うなら、ウズベキスタンの持つリソースを使って、日本などにサービスを提供するしかないでしょう。

 

Q9: 最後に、これから起業しようと思う人たちへのメッセージをお願いします。

海外でたくさんの起業家の方々を見てきました。自分でも海外で幾つかの事業をやってみました。 無責任に起業を勧めるつもりはありませんが、多くの起業家の方々が幸せそうに見えることと、僕自身も幸せだということは間違いありません。

海外で起業するのはちょっとハードルが高いかもしれません(実はそんなこともないように思いますが・・・)。 まず海外に行って、どこかの会社で仕事をしてみるというのも選択肢だと思います。 知らない人も多いかもしれませんが、日本企業は東南アジアなどの新興国に大量に出ていってます。 バンコクで就職活動してる人もたくさんいると聞きます。 日本での就職よりも、もしかすると比較的楽に、良い会社に就職できるかも知れません。

日本にはあって、海外にはないモノやサービスはたくさんあります。

それを、我々のように日本人向けに提供したり、現地人向けに加工し、提供したりすれば、食べていくくらいは稼げるでしょう。 日本で同じことをやっても上手くいかないと思いますが、海外では競合も少なく、成功確率は相対的に高いと思います。 いずれにしても、まず海外に出ましょう。これまで見えなかったものに気付くはずです。

「Your address reflects who you are.」
(あなたの今いる場所は、これまでのあなたを反映している)

という言葉が好きなのですが、これからずっと沈みゆく日本と一緒に、自ら沈むくらいなら、海外に出ましょう。 そして、海外に拠点を移し、世界中で活躍してください。

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