日本の文化・伝統 海外ビジネスアイデア

日本の伝統文化・伝統産業は、衰退産業なのか?復活の可能性は、海外にあり!

日本の伝統文化、伝統産業の危機

日本の茶道人口推移の記事で書きましたが、日本の茶人口は、
最盛期の500万人から現在では170万人まで激減しました。

(算出:総務省統計局社会生活基本調査より)

あなたの身近でお茶をやっている人も少ないのではないでしょうか?

日本には、世界に誇るべき多くの伝統文化や産業がありますが、
一部を除けば、多くのものが衰退しつつあります。

日本の伝統文化・伝統産業

武道(剣道・柔道・合気道・柔術・古武道・弓道など)、茶道、華道、書道、香道、歌舞伎、能、狂言、禅、宮大工、和蝋燭、畳、日本刀剣、筆、漆器、そろばん、陶芸、三味線、琴、尺八などなど

これら日本の伝統文化や産業は消えていく運命なのか?
それとも、逆転のチャンスはあるのだろうか?

今回は、日本の伝統文化、伝統産業の可能性について見ていこうと思います。

 

日本の伝統文化の衰退の原因

日本伝統文化・伝統産業の衰退理由

  • 実践者、購入者の減少
  • 儲からない産業
  • 後継者問題
  • PR不足、支援不足

日本の文化や伝統に親しむ人が少なくなった結果、
実践者(=購入者)が減少していき、その結果、
儲からない産業(斜陽産業)になっていきます。

そうなって来ると、当然、後を継ごうと思う人も減っていきます。

そして、日本の伝統文化や産業は、盛り上がらなくなり、
さらに衰退していくという悪循環にはまっています。

私の意見

文化をお金で語るなと思われそうですが、結局、お金にならない産業は、継続していくことができません。一方で、悲しいことではありますが、お金になると思えば、これまで全く興味がなかった人や企業が、その分野に参入してきて、盛り上がりをみせます。

さらに詳しく

私が、外国人向けのビジネスを始めた10年ほど前(2010年)は、外国人を相手にしたインバウンドビジネスに興味を持つ企業は、ほとんどありませんでした。それが、観光立国を目指し、外国人観光客が急増し、「爆買い」という言葉が使われ始めてから、一気に、民泊、免税店の急増。外国人をターゲットとする企業が増えました。


ですので、如何に、儲かる産業(興味を持つ人を増やす)にするかが大事なのです。

 

そして、もう一つの課題が、

課題②

PR不足、支援不足

日本の文化や伝統には、素晴らしいものがありますが、
その素晴らしさを伝えることができていません。
(下手すると、今の日本人の中には、日本文化=古臭い、時代遅れ
と考えられている傾向さえあります。)

柔道や剣道などは、中学高校で必修科目であったり、
部活で学べる場所があったりしますが、
その他の伝統文化を学べる機会は少ないです。

そして、残念なことに、伝統文化や工芸に携わる人は、
職人気質の人も多く、今のネットを通じたPR方法を知りません。
(Instagram、YoutubeなどのSNSでのPRもしなければ、自社サイトがない、
もしくは、不十分な企業や工芸士や職人さんも多いです。)

 

こういったことが原因で、日本の伝統文化や産業は、衰退しているように見えます。

伝統工芸品1970年2017年
箏(こと)製造数2万58003900
三味線 製造数1万80003400
い草(畳の原料)生産量99,100トン8,530トン
刀匠(刀鍛冶職人数)不明188名

 

日本伝統文化・伝統産業の復活の鍵

疑問

では、日本の伝統文化や伝統産業に未来はないのか?

といえば、私の見解では"”で、さらに言えば、
大きなチャンスがあるようにさえ思います。

アニメ・漫画から学ぶ日本の伝統文化で、書いたようにきっかけさえあれば、
誰もが、日本の伝統文化に親しむことができるのです。
(要は、その良さを伝えきれていないだけです。)

私の意見

現在、伝統文化や伝統産業の担い手は、高齢者の方も多く、残された時間はあまりありません。一度、技術や伝承を失ってしまえば、取り戻すことは非常に困難です。ですので、早急な対策を必要としており、解決のための鍵は、「海外(外国人)」だと思ってます。

 

日本の伝統の復活の鍵は、「海外」にあり!

「灯台下暗し」「隣の庭は青く見える」という諺があるように、
日本人自身は、本当の日本の魅力に気付いていないことが多いです。
(参考:外国人が注目する日本の骨董日本で見つけたビジネスチャンス4選


ですので、時間と労力をかけて、日本人に日本の伝統を再認識してもらうより、
日本の伝統文化に興味を持っている外国人に狙いを定めていくことをオススメします。

 

外国人をターゲットにするメリット

  • 日本の伝統文化に興味津々(リスペクトされている)
  • 日本と比べると、大きなマーケットになる可能性が高い
  • 日本と比べて、知識や経験が少なくても、海外で第一人者になれる
  • 外国人が興味をもつことで、日本で再評価される
  • 外国人の購買力も高く、かつ、今は、円安

海外では、日本食が大ブームであったり、アニメやマンガをきっかけに、
日本の伝統文化に興味を持つ人、また、世界的な大企業の経営者には、
故スティーブ・ジョブズのように禅に傾倒する人も多いです。

一方で、日本人はその魅力に気付いておらず、海外の和食レストランの90%は、
日本人オーナーではなく、現地に住んでいる東南アジアの人が、ジャパニーズ
レストランとして経営しているなど、日本人はチャンスを活かしきれていません。
農林水産省「海外における日本食レストランの現状」(平成18年度)
古いデータですが、根本的にはあまり変わっていないと思います。)

ですので、本家本元の日本人が海外でビジネス、または、
外国人向けに普及していくことは、大きなメリットです。

私の意見

特に日本人は、外国人に評価されて初めて、評価するという不思議な国民性です。明治時代、日本の浮世絵が二束三文で海外に売られ、海外で評価されてようやく日本人は、浮世絵の持つ資産性に気づきました。近年で言うと、日本の古民家ウィスキーなども良い例です。


このように、10の力を使い日本人に日本の伝統文化を普及していくより、
3か4の力で外国人に日本の伝統文化を普及させ、
日本人に再評価してもらう
という流れのほうが、より効率的で効果的だと思います。

 

海外で成功した日本の伝統産業

熊野筆

広島県安芸郡熊野町で生産されている筆。経済産業大臣指定伝統的工芸品。

毛筆は1970年代以降生産は伸びていないものの、海外で化粧筆の品質が
認められることになり、ハリウッドセレブ御用達、あるいはパリコレの
メイクアップアーティストが認めた筆と謳われるようになった。

これに1990年代後半から国内メディアで熊野の化粧筆が取り上げられ始め、
同じ頃美容ブームやメーク専門女性誌が創刊されたことにより注目され始め、
2011年なでしこジャパンへの国民栄誉賞記念品として取り上げられたことで
国内での知名度が一気に上がる。(Wikipedia参照)

 

また、茶道人口が減少しつつある中で、茶道に欠かせない抹茶は、
海外での認知に伴い、大幅に生産量が増えた産業でもあります。

アイスクリームで有名なハーゲンダッツ社が1996年に抹茶アイスを販売。
ハーゲンダッツショックが起こり、抹茶の需要が急増しました。
(今では、海外で抹茶人気になり、洋菓子など様々な所で使われています。)

 

成功事例(企業)

こちらは、私が注目している企業です。

アコメヤ

2013年創業。東京都内中心に、日本の各地の名産、特産を取り扱う。豊富な品揃えで日本人のお客も多いが、外国人にも人気。将来的には、海外進出も検討しているようです。(株式会社アコメヤ

株式会社中川政七商店

「日本の工芸を元気にする!」をビジョンに、日本の伝統工芸品を取り扱う。また、PRやマーケティングが不得意な伝統工芸の会社に対してのコンサルタントを行っている。(株式会社中川政七商店

今の時代にあった形での日本の伝統工芸品や特産を専門に扱う会社になります。
(職人さんや伝統産業が苦手なPRやマーケティング、販売を代行する会社。)

さらに詳しく

こちらは少し意味合いが違いますが、現代的な手法で成功した例です。奈良にある法隆寺が、クラウドファンディングで寄付を呼びかけた結果、目標額の2000万円の7倍を超える1億4600万円余り(7400人以上の人たちの支援)があっという間に集まりました。日本の伝統と現代の手法をうまく融合させた成功例と言えるでしょう。

 

このようにやり方さえきちんとすれば、日本の伝統文化や伝統産業は、
大きなチャンスがあるといえるでしょう。

 

最後に、私のお茶の先生の言葉を伝えます。

お茶の先生

やり続けなければ、文化は続かない。

数百年、千年と続けてきた人たちがいたからこそ、現代まで文化が残っています。
誰も残す人がいなくなれば、そこで文化は絶えてしまうのです。

さらに詳しく

日本の伝統文化が、海外に根付いた例としては、柔道が挙げられます。日本では年々、柔道人口が減っていき、2016年の柔道人口は、約16万人。一方、ミズノの「世界の柔道人口調査」(2016年3月)によれば、ブラジルは、200万人以上の競技人口。続いて、フランスは、約56万人。これは、嘉納 治五郎氏(1860年-1938年)が、積極的に、海外に普及活動を行った結果です。復活の可能性は、海外にあり!

 

伝統産業の求人情報

伝統産業での仕事をしてみたい方は、こちらに求人があります。是非、日本の伝統文化を支えるべく検討してみてはいかがでしょうか?(「四季の美」)

 

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