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【国際税務】海外への法人設立、リモートワーク、海外ノマドの可能性

海外に拠点を移し、リモートワークの可能性

私の友人が、今年からオランダでリモートワークをしました。
(その話は、ヨーロッパ移住の近道をご覧ください。)

正直、友人からの話を聞くまで、私自身、頭の中で、無理だと決めつけていました。

ただ、友人の話を聞き、いかに、自分の視野が狭まっていたかと反省。

海外へ拠点を移してのリモートワーク、あるいは、
移住の可能性がないかどうか検証してみようと思います。

今回、特に、税制上の問題について、専門家に聞いてみました。

 

田邊政行氏のプロフィール(国際税理士)

田邊国際税務事務所代表。グローバルな人脈・ネットワークを活かし、国際相続、国際税務分野におけるスペシャリスト。 ハイクオリティーな税務コンサルティング・サービスを行う。

【著書】「国際相続ハンドブックQ&A」(共著、TFP出版)
Q&A海外移住タックス・ガイド」(共著、財経詳報社)

 

海外で仕事(リモートワーク)をした場合、税金はどうなるのか?

質問①

海外でリモートワークをし、日本で収入を得る場合、税金はどうなりますか?

大きく分けると、日本に居住する人(居住者)と
住んでいない人(非居住者)に分かれます。

住民票を抜き、国外転出届を出せば、基本的に年金、保険料、住民税はかかりません。

しかし、日本を離れ、海外で仕事(リモートワーク)する場合は、
日本で稼いだお金だけは、日本に払う必要があります。
(日本に販売拠点(PE)等がある場合)

 

もし、売り上げ業務ごと海外に会社を持っていけば、税金は掛かりません。

海外で商品を調達し、海外から日本人に商品を売る場合であれば、
税金は掛かりませんが、滞在先の国に税金を払うことになります。

海外に住んでいる場合は、ノマドのように一箇所に留まらないで
あちこちの国に移動するのは、(特に、高額納税者の場合)
税金の観点から見るとあまりオススメしません。

オススメしない理由

CRS(共通報告基準)の適用が厳格になったことにより居住地国の証明や納税者番号の入手ができないと、銀行口座が持てなかったりする他、どこの国の居住者でもなくなることで、逆に、いろいろな国が、自分の国の居住者であると言いやすくなり、国際的な二重課税が生じてしまう恐れがあるためです。

 

質問②

日本でビジネスをした場合の税金は、いくらか?

 

日本の法人税実効税率は、2022年現在、23.2です。
(資本金1億円以下の法人の場合、年800万円以下の利益であれば、法人税は15%

 

参考

平成元年の基本税率は40%で、中小法人の軽減税率は29%でした。
法人税は、この30年間で8回減税が行われ23.2%まで低下しました。

ですので、日本の法人税自体は、昔と比べ、だいぶ安くなったと言えます。

ちなみに、年間の所得がマイナス(赤字)の場合、法人税は課税されません。

 

しかし、法人税以外に、法人には、様々な税金がかかります。

法人にかかる税金

  • 法人税
  • 地方法人税 
  • 住民税 
  • 事業税
  • 特別法人事業税

計算式が複雑なので、ここでは省きますが、5種類の税金の税率をもとに、
法人が利益に対して支払わないといけない税金(実効税率)は、

年400万円の利益の場合、実効税率は、21.4%
年800万円の利益の場合、実効税率は、23.2%
年1000万円の利益の場合、実効税率は、33.6%

1000万円の利益に対して、336万円を税金として支払うわけです。

この税率は、中小法人(資本金1億円以下の法人)で、東京都内に本社を置く法人に適用されます。※2023年3月31日までに開始する事業年度の所得が対象。

 

質問③

法人税が安いと言われる海外法人の設立する可能性は?

 

では、今度は、海外の法人税を見てみることにしましょう。

一昔前は、香港など、税金の安い国に法人を設立するということが流行りました。

法人税が安いとされる海外の法人税

  • 香港の法人税率は、16.5%
    (課税所得200万香港ドル(約2800万円)までの税率を8.25%)
  • シンガポールの法人税は、17%
  • ドバイの法人税は、0%
    (ドバイの法人税は、制度自体は存在しているが、一部の業種を除いて法人税は徴収されていない。)

 

この中では、ドバイなどは面白いかもしれません。

物価は、日本の1.5倍から2倍程度。ドバイの中心地のワンルームアパートの家賃15万円前後。生活費として、22万円から30万円は見ておかないといけないです。あと、ドバイで法人を作る場合は、設立費用、年間維持費用など100万円単位の費用が必要となるのがネックです。

 

ただ、昨今、大企業が税金の低い国に法人登記し、税金逃れするケースも目立っているので、先進国で下記のような共通ルールが制定されました。

さらに詳しく

2021年6月のG7財務相会合、7月にはG20、10月にはOECDで非加盟国を含む140カ国・地域が参加し、国際的に「最低法人税率」15%以上とすることが決まり、国際法人課税ルールの大幅な見直しが約100年ぶりに決まりました。

ですので、以前のように、税金の安い国に法人を設立する
というメリットは、徐々に薄れてきていると言えるでしょう。

むしろ重要なのは、

ココがポイント

どこの国に住みたいかということを出発点として考えることです。

 

今回は、国際税理士の田邉さんに教えていただきました。
田邉さん、ありがとうございました!

もし、海外の法人設立、税金について質問したいという方は、ご相談ください。「海外起業家’s EGG」を見たと言っていただければ、初回の相談は無料にしてくれるそうです。田邊さんに相談する

 

私の場合に当てはめて検証

会社を今すぐに海外に移すというのは、あまりメリットがなさそうな気がします。

ただ、リモートワークで、海外に移住し、住民税、保険料、年金、日本での家賃、
光熱費などを浮かすことができれば、年間数百万円浮かすことが出来ます。
※例えば、年収600万円の人であれば、毎年100万円は、税金を払ってます。

それを物価の安い海外の生活費に当てるということも可能な気がします。
(そして、現地で語学を学んだりすれば、人生にとっても+αです。)

しかし、少し考えれば、色々とアイデアが浮かんでくるものですね。
やるかやらないかは別にして、考えるだけでワクワクします。

 

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