海外起業家(欧州編) 海外起業家インタビュー

【追跡インタビュー】ロシアでラーメンビジネスに挑戦する鬼島一彦さん

鬼島一彦さんへのインタビュー (ロシア起業から10年後の今)


2012年、ロシアで起業したばかりの鬼島さんにインタビューをしました。

2012年起業時の鬼島一彦さんインタビュー

海外起業家インタビュー(ロシア編)鬼島一彦さん

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あれから、10年。

10年前にロシアで起業した鬼島さんが今、
どうなっているのか追跡インタビューをしてみました。

 

鬼島さんの簡単な紹介

鬼島さん、お久しぶりです!

まずは、昨年、PERSOL Work-Style AWARD
グローバルチャレンジ部門受賞、
おめでとうございます。

起業してから10年経ちますが、確か、当初、ロシアで医療関係の会社を
設立されたかと思うのですが、最近では、ロシアでラーメンビジネス
展開されているとか。

この10年の鬼島さんの起業遍歴、いろいろとお聞かせください。

 

Q1: まず、このPERSOL Work-Style AWARD について少し教えていただいてもよろしいでしょうか?どんな賞なのでしょう?

これは日本の人材派遣会社大手が毎年おこなっているものです。

8つの部門で毎年表彰をおこなっているのですが、その中のグローバルチャレンジ部門
というもので2021年の賞をいただきました。海外で活躍している日本人という枠ですね。

PERSOL Work-Style AWARD について

パーソルのグループビジョン「はたらいて、笑おう。」を、1年間でもっとも体現していた方に贈る PERSOL Work-Style AWARD。アクティブシニア・ふるさと貢献・パラレルキャリア・ダイバーシティ・グローバルチャレンジ・ネクストキャリア・キャラクター・著名⼈の計8部門を設け、自分らしいはたらき⽅を実践した方々を、多様な価値軸で表彰します。

 

Q2: 今から10年前に、鬼島さんにインタビューさせていただきました。あの頃と今は、どうビジネスが変わってきましたか?

いい意味で想像しない大きな変化があったと思います。

ロシアはオリンピックやワールドカップなど世界的な大きなイベントがこの10年間であったおかげで内外的にも成長した側面もあり、かつウクライナ問題等で政治的にも経済的にも大きな変化を強いられた側面もあり、つまりは毎日がジェットコースターのように目まぐるしく変化する環境の中で常にそれに対応することを迫られるような日々だったと思います。

大きな変化があるときは大きなチャンスが巡ってくると思っておりますが、この10年で幸いにもそれらの変化という波に呑まれることなく、上手に波乗りできたのかなと思っています。当時は医療分野に大きな力を入れていくことを目標としてきましたが、現在は医療分野以上に食の分野に力を入れて取り組んでおり、一定の成果も出ております。

2022年にはその甲斐もあって、農林水産省より日本食普及親善大使として任命を受けることができました。

もちろん、医療分野も並行して取り組み、今は食という側面から健康を支援する取り組みに重点を置いております。

 

Q3: 現在、ラーメン店経営もされているとのことですが、何がきっかけでそうなったのでしょうか?また、鬼島さんは、看護師で飲食業の経験はなかったかと思うのですが、どう乗り越えたのでしょうか?

2015年に飲食店のコンサルを頼まれたことがきっかけて飲食分野に関わるようになりました。

元々実家がラーメン屋さんなので、看護師ですけど、ラーメンのことはだいぶ知識も経験もありました。それがこんな形で生きるとはもちろん想像もしていなかったですがw

無駄な経験はないですねw

私も日本ではラーメンのプロフェッショナルではありませんでしたが、ロシアにおいて日本人であるという利点、そして自分よりもラーメンを知っている人が誰もいなかったという点で、ロシアではラーメンの第一人者として認知されるようになり、この7年間でたくさんのレストランのメニュー開発や開店支援を行ってきた結果、相当な経験と技術も身に付いてきたと思います。2018年より製麺所を開設して現在はモスクワとサンクトペテルブルクの2か所でロシア全国に麺やタレを供給しています。

ラーメン店をオープンするには立地や内容によってかなりピンキリですが、フードコートなどの立地であれば700万円程度かと思います。路面店であれば1500〜3000万円程度。


宗教上、そしてダイエット等の観点から豚を嫌う層が一定いる中、それでも豚骨はやはり人気があります。エビなどを使ったシーフードのラーメン、クラシックな醤油ラーメン、そして最近はピリ辛の坦々麺などにリピーターが増えています。

 

お店は、Chou Do Ramenです。

 

Q4: 起業してから今に至る10年、きつい時はありましたか?

きつい時期、、、今思えば、創業した1年くらいはきつかったのかもしれません。

元々手元に50万円くらいしかない状態で起業してロシアに渡航したので、その当時はレートも高く、食費もかなりケチって生活してたとおもます。嫁がチョコレート欲しいと言っても、今日はダメとか言ってましたw

 

Q5: ロシアでの起業環境、ビジネス環境の今はどうですか?この10年で変わりましたでしょうか?

多少は起業環境は良くなっていると思います。ビザ関係だけでなくFintechやさまざまなものがIT化されているので、10年前に比べれば生活環境も含めよくなっています。それでも多くのことはまだまだ複雑なのでロシアで支援してくれる人がいることで相当スムーズに物事が進むことは今も変わらないと思います。

 

Q6: ロシアの魅力やロシア人の良いところは何ですか?

ロシアの魅力は、資源があり、まだまだ産業が未開拓である分野も多いですので、ローカライズという観点でビジネスを構築できると強いと思います。先進国に比べれば所得税や法人税も安いので、手元に残せるお金も多いのではないでしょうか。

ロシア人は刹那を生きる人々であるということ。

ソ連という国が崩壊し、デフォルトや経済制裁など、毎日が変化の連続の国では、過去の経験と現在と未来が線で結びずらいという状況です。したがって彼らとビジネスをするときには今のコンディションがどうなのか、近い将来の成果が期待できないビジネスや約束は意味を持たないという潜在的な意識があると思います。

 

Q7: この10年を振り返ってみてどう感じますか?今後の目標を教えて下さい。

とにかくノンストップで駆け抜けてきたと思います。

すごくたくさんの経験と出会いがあり、本当に充実した日々だったです。そしてこれからも、社会の役に立つ取り組み、事業をするということを第一に進めていきたいと思います。社会の為になる取り組みができれば、お金は後からついてくると思っています。

 

補足質問: ロシア語はどのように学びましたか?起業前に話せたのでしょうか?

起業前にロシア語圏のウクライナで6ヶ月、その後ロシアで実践的に学びました。
人と話すのが好きなこと、そして文法の間違いなどを恐れずに話すことが重要だと思います。

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鬼島さん、インタビューありがとうございました!
また、10年後のインタビュー、楽しみにしています。

いざ、鬼島さんに続け!海外起業家’s EGG(起業家の卵)たち!

 

鬼島一彦さんについて

国際看護師 現在サンクトペテブルグ(ロシア) に在住 。思いは人一倍強いが 、人一倍できの悪かった看護学生生活を経て、2005年から2010年まで横浜で手術室看護師として救急医療に従事 。 2010年から2011年までスペインのバルセロナにスペイン語留学。 2011年から2012年までウクライナのキエフでロシア語留学 。 これまでヨーロッパを中心に20か国を渡り歩き日本語 、ロシア語 、英語 、スペイン語堪能 。 ほんの少しの短い時間でも 、医療を通じて患者さんの人生の一部分になることのできる この「看護師 」という仕事が本当に大好きで、かつ 、留学している中で様々な国々の医療事情を知り 、 日本の予防医学 、最新技術といった粋を海外と結び付け 、「 世界中の人がより健康で豊かな生活が送 れるために何か役に立ちたい! 」 という思いから 、2012年秋 、ロシアに現地法人MTC JAPANを立ち上げる 。現在 、関東を中心に病院 、 大手旅行業社と協業して 、日本への患者誘致するだけのメデ ィカル ツーリズムにとどまらず 、 日本の予防医学そのものを地域に根付かせ 、本当の意味での世界の健康の底上げができるように 日々奔走しています 。看護の医療の新しい可能性を見出す、そんな先駆けに成るべく 、日々奮闘 してい る 。

サイト: 会社HP
ブログ:国際看護師 ゴーゴーキジプ!

 

 

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