海外起業家(中南米編) 海外起業家インタビュー

【海外起業家インタビュー】南米・ブラジルでコンサルティング会社経営:倉智隆昌さん

倉智隆昌さんへのインタビュー

1982年神奈川県生まれ。2004年よりブラジルに移住。
現在はサンパウロに在住し、日本とブラジルを行き来する生活を送る。会社:“BBBR” CEO、“Espalhado”ディレクター兼デザイナー

Q1: 現在、どんなビジネスをされていますか?

ブラジルでコンサルティング会社を経営しています。BBBRという名前のブラジル法人です。

リサーチ&マーケティング、輸出入代行、販売代行、Webサービス(Webサイト、ECサイト構築、Webマーケティング)、進出コンサルティングなどが主な事業内容です。 強みはコストパフォーマンスとブラジル現地で様々な業界にネットワークを持つという点です。 サービスの部分では、販売に関するコンサルティングに力を入れています。 売上がないとプロジェクトは続かないので、中小企業においては販売が占める重要性は高くなります。またミッション、ビジョン、フィロソフィーの構築も得意な分野です。ブラジル法人で日本のマーケットに興味がある企業からも、日本サイドへの進出やマーケティング、販売に関するコンサルティング業務を受け付けています。

そのほか、学生時代からファッションが好きで、Espalhado(エスパリャード)というファッションブランドのをセカンドビジネスとして行っています。 これはブラジルのファッションや現地のモード・スタイルを日本に伝えていくことを目的としており、日本法人となります。

 

Q2: 起業したきっかけは何だったのでしょうか?

21歳で単身ブラジルに渡り、様々な業種に携わってきました。 はじめから移住を視野に入れた渡航で、学生時代から一旗上げると決めていたというか、 そのような生き方しか出来ないタイプだったので、起業は必然でした。 昔から起業しかないと思っていました。

 

Q3: なぜ、ブラジルで起業しようと思ったのですか?また、なぜ、そのビジネスを始めようと思ったのでしょうか?

元々コンサルティング、人を導いていくということが自身の天職だと感じていました。 人に何かを教えたり、コーディネイトしたり、 カリキュラムを組んだりするのが昔から好きで、何しろそれをやっている時に疲れなかった為です。 ですがコンサルティングは経験とノウハウが必要なので、今まで飲食業、出版業、輸出入業、製造業、グラフィックデザイン業、ウェブ事業など様々な業種に携わり経験を積んできました。 大部分がブラジルでの経験です。

また何故ブラジルに惹かれたのかといいますと、商業的な理由からではなく、「人間らしく生きる為にはどうしたらいいか?」「活き活きと自分が輝ける環境、状態はどんなものか?」という問いを突き詰めていった結果が海外、ブラジルでした。

また自身の人生の使命で「弱きを助ける」というものがあるのですが、これにあるように弱き=貧しい国に行きたかったということもあります。 また、この使命が中小企業をバックアップするコンサルティングという業種を生業にしている理由にもなっています。

 

Q4: 最初の起業資金はいくら必要だったでしょう?

これは今まで様々なケースを経てきましたので、一概には言えません。 出資して頂いて事業を始めたケースもありますし、銀行から融資して頂いて始めたケースもあります。 現在のメイン事業であるコンサルティング会社は登記費用のみです。ですから10万円くらいではないでしょうか。

これは作ってから売る(サービスを)という方式を取らずに、注文を取ってから売る、というスタイルを取ってきた為に可能となりました。 またコンサルティングという業種も初期投資を余り必要とする業種ではないので可能となったのではないでしょうか。

 

Q5: ブラジルの起業環境について教えてください。

永住権がないと法人登記の際に定款に名前を載せることが出来ません。
また、ほとんどの場合がLtda(リミターダ)の有限会社としての法人設立となります。 この場合、共同経営者として最低2人の事業主を定款へ登録することが必要となります。

他にも個人事業主や株式会社などの形態もあります。
まずは永住権、次に語学(ポルトガル語)の習得が必要です。 また現地の生活習慣、ビジネス習慣に慣れることも必要です。 個人差や事業内容にも依りますが、独立してビジネスを始められるようになるまでに、現地に渡り最低5年は必要と思います。 海外移住や海外での起業は若ければ若い程アドバンテージがあるのは言うまでもないので、若い方に是非チャレンジして頂きたいと思います。

 

Q6: ブラジルでビジネスを行う際に困ったことは何でしょうか?また、起業する際の注意点は?

BRICsの一角で注目されて久しく、消費力のある非常に魅力的なマーケットですが、リスキーな部分もあります。

税制度、雇用制度、そして格差社会に反映される金銭感覚の落とし穴です。説明するのは難しいのですが、1億円持っていくと1億円吸われてしまう国です。 また国民性が違うので日本人と同じ感覚ではビジネスは出来ません。時間にルーズ、支払いのトラブル等は最初に遭遇する問題です。

起業の際の注意点は、出資を受けて起業する場合と、自己資金で小さくやる場合とまた違いますが、やはり販売がないと事業は続きませんので、 顧客やマーケットを掴むまで起業するべきではないと思います。

 

Q7: 起業してよかったと思うことは何ですか?

やはり思う存分自分のやりたいことが出来る、好きなように生きていけるという点だと思います。
自分の人生は自分で決めるべきです。うまくいくにも失敗するにも全ては自分の責任という考え方がベースです。

 

Q8: もし、今のビジネス以外に新たにブラジルでビジネスをするとしたら、どんなことをしたいですか?

私自身、他の事業を始めようとは現在思ってはいませんが、もしゼロからブラジルで事業を始めるとしたら、 バイオエネルギー系のベンチャー、アニメに関するコンテンツ管理会社、天ぷらレストラン、 WebマーケティングやPRに関する代理店事業、ポルトガル語のマンガを揃えるマンガ喫茶などでしょうか。

どちらにせよ、資源はあっても技術のない国なので、日本の中小企業のメーカーさんなどのブラジルへの技術提供、提携、進出には必要性を感じます。

 

Q9: 最後に、これから起業しようと思う人たちへのメッセージをお願いします。

自分の適性、特性を掴むと良いと思います。簡単に言うと天職を見付けるということですが、見付けるのは容易なことではありません。 様々な経験と直感によって見い出されていくのではないかと思います。また自身の人生の使命が、その事業の使命とリンクしているとエネルギーやモチベーションが尽きないと思います。

人生は一度きりですから自分のやりたいことを思う存分やるべきだと思います。そして、それが世の為、人の為になれば最高ですね。 自分の心の声を無視せず、その声に従って取りあえず何かアクションを起こしてみてはいかがでしょうか?

 

-海外起業家(中南米編), 海外起業家インタビュー