海外起業家(北米編) 海外起業家インタビュー

【海外起業家インタビュー】アメリカ・ロサンゼルスで建築デザイン事務所経営:黒川修次さん

黒川修次さんへのインタビュー

アメリカ在住の建築家。渡米し既に25年以上が経過。東京工業大学建築学科を卒業し、東京にて建築設計並びに都市計画等に携わる。その後、ロ-タリ-財団 奨学生として渡米しカリフォルニア大学ロサンゼルス校 (UCLA)都市計画建築学部 大学院を卒業。 世界有数の建築家であるチャ-ルズ ム-ア、ア-サ- エリ クソン、バートンマイヤーズらの設計事務所に勤務後 IMPACT DESIGN, INC.を設立。 アメリカの建築士の資格、並びに全米環境建築協会のLEED(The Leadership in Energy and Environmental Design)の認定プロフェッショナ ル。デザインその他の業績等によりブレア デザイン賞、WAL特別賞、アドバ ンススタンディング賞を受賞。

ブログ: “IMPACT DESIGN, INC. BLOG” “Impact Design, Inc. - What's New”

Q1: 現在、どんなビジネスをされていますか?

建築デザインを中心とする業務を行う事務所をアメリカのロサンゼルスでやっています。

日本には海外法人という形で支社を設けていますし、仲間とともに中国の大連にも窓口を置いています。 仕事の内容としては、新しいエリアを開発する際のアーバンデザイン・マスタープランイングをやっていますし、 もちろん仕事の中心業務としてマンション・店舗・レストラン・高齢者施設・住宅・事務所等の建築デザインに携わってきています。 また、インテリアやランドスケープのデザインまで手がけることもありますし、コンサルティング的な業務を行うこともあります。

最近は、海外進出に際しての不動産や事務所・店舗等の開設に関することや、不動産海外投資に関する相談を受けることも多くなってきています。

 

Q2: 起業したきっかけは何だったのでしょうか?

学生の頃からと言いますか、つまりは初めからいつかは独立するという気持ちでずっと勉強しそして仕事をしてきました。そして、自分でプロジェクトを取りその仕事をしっかり面倒を見ることが出来るという自信がつくまで独立の機会を待っていました。

 

Q3: なぜ、アメリカで起業しようと思ったのですか?

建築というものは文化的背景に大きく影響を受けるものですから、自分の能力を広めるためにも、海外の文化に大きな興味を持っていました。 私の場合はそうして「海外」まで視野を入れて建築の仕事をしていきたいと言うことを目標としていましたので、アメリカという場所が重要ではありませんでした。 それは今でもそうです。今は私のビジネスのひとつの重要な特徴である「国際性」を如何に生かした業務を行っていくか色々プランを練って、各国のお客様に提供していこうとしているところです。

 

Q4: 最初の起業資金はいくら必要だったでしょう?

他社に勤務しているうちから既にビジネスライセンスも取得し、名刺等も作るなど準備をしていましたし、実はアルバイト的な仕事を夜と週末を使って始めていましたので、起業はその延長という形で自然にタイミングがつかめました。 ただ、そうやって始めたビジネスであるため、起業資金というものを把握していません。

 

Q5: アメリカの起業環境について教えてください。

ノウハウや知恵に対してそれなりの対価を支払うということが、かなりのレベルでしっかり成立していますので、私のような付加価値やソフト部分の創造を仕事とするにはアメリカは向いていると思います。

日本はその点今でも遅れていますね。例えばレストランを開業するにしても、開業すべき場所の特性とターゲットマーケットを見据えて多くのお客を魅了するためのデザインを検討すべきですが、 アメリカと比較し日本のクライアントにはまずは安ければ質なんてどうでも良いと考えてしまう人が多いと感じています。

 

Q6: アメリカでビジネスを行う際に困ったことは何でしょうか?また、起業する際の注意点は?

アメリカは自由の国であると同時に個人の責任を重視する国ですから、契約書や日々の連絡に関して一字一句気をつけなくてはいけませんし、 ミスや瑕疵に関しては訴訟も当たり前のように起こる厳しい国でもあります。そのため完璧な英語力や完璧な作業が要求されますし、 作成する書類や図面も増えその綿密さも要求され、作業量はどうしてもアメリカの方が増えます。また、アメリカではそこまで頑張って デザインをしても建設会社や工務店の質が日本より劣るため、現場に入ってから台無しになったりすることも多く、監理が大変です。その点では日本の方が気楽です。

アメリカで起業される場合には、弁護士・ビジネスコンサルタントなど、各分野の専門家で信用できる方をちゃんと見つけ、 それなりの対価を払ってしっかりとした仕事をして貰うことが重要かと思います。前述の工務店の例でもそうですが、 アメリカでは質の悪い会社は本当に日本では想像出来ない程酷いところも多いですから。

 

Q7: 起業してよかったと思うことは何ですか?

デザインは感性が重要ですし、その自分の感性を生かしてそれを仕事にしていけることに生き甲斐を感じています。

 

Q8: もし、今のビジネス以外に新しくアメリカでビジネスをするとしたら、どんなことをしたいですか?

建築デザイン以外のビジネスをやりたいと思いませんし、この質問には上手くお答えできません。

 

Q9: 最後に、これから起業しようと思う人たちへのメッセージをお願いします。

起業というのは、自分の力を試すということです。苦労も多いし必ずしも大きな金儲けにも繋がりませんが、 深い満足感と節目節目の達成感を感じることが出来ます。これから起業をしようと考えていらっしゃる方々は それだけでその入口に足を踏み込んでいると言うことですし、是非頑張って自分の夢を達成してください。

 

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