海外起業家(アジア編) 海外起業家インタビュー

【海外起業家インタビュー】インドネシアで子供向けのプログラミングスクール:徳永裕さん

徳永裕さんへのインタビュー

19858月生まれ。東京都出身。Timedoor 代表取締役社長。ごく普通の幼少期を過ごし、大学でプログラミングを学んだのち株式会社プロトコーポレーションでWebメディアの運営、開発、マーケティングに携わる。2014年からインドネシアのバリ島に移住して起業する。現地インドネシアや日本でシステム開発、オフショア開発をする傍ら、子供向けのIT教育を発展途上国に広げている。

Website:
https://jp.timedoor.net/
https://timedooracademy.com/

SNS:
Facebook = tokunagayutaka
twitter = tokunaga818

Q1: 現在、どんなビジネスをされていますか?

弊社はインドネシアのバリ島で Web サイト、モバイルアプリ、オフショア開発などのシステム開発事業をしております。また子供向けのプログラミングスクールを世界各国40拠点で展開し、のべ1万人以上の方にテクノロジーを教えてきました。最近では日本で働きたいインドネシアの方に日本語を教えて日本で働く機会を提供しています。

150人の若い社員達と共に発展途上国の社会に貢献しようと日々奮闘しております。

 

Q2: 起業したきっかけは何だったのでしょうか?

フィリピンに行った際にマニラでストリートチルドレンやゴミを拾って生活している子供を見て、世界にはこんなに貧しい人がいるんだと感じ、自分が 日本で普通に働いていることがもどかしくなりました。私は自分の名前がユタカというのですが、自分の名前に恥じないようもっと恵まれない方々の役に立つことがしたいと思い、日本よりも貧しい国で仕事をすることを決めました。そこで初めて自分が海外では言葉や文化の違いから日本と同じように仕事をする実力がないことに気づき、自分のことを最も素早く厳しく成長させる険しい道として海外で起業することを選択しました。

 

Q3: なぜ、インドネシアで起業しようと思ったのですか?

インドネシアで起業しようと考えたのは東南アジア最大の人口を誇るポテンシャル に引かれたことはもちろんですが、それ以上にこの国にはたくさんの社会課題 カオスがあると感じ 、逆にそれが起業家としてのチャンスにつながると思いこの地での起業を決断しました。

 

Q4: 最初の起業資金はいくら必要だったでしょう?

インドネシアで外国人が法人を設立しようとする場合、最低でも1億円以上の資本金が求められます。そのため日本の企業にお願いをし、資金を提供していただきビジネスを始めました。ただしその資本金には手をつけず、自分でゼロから貧しい中でビジネスを始めました。

 

Q5: インドネシアの起業環境について教えてください。

インドネシアに限らずですが 外国人が何の後ろ盾もなく0から海外で起業することはとても大変なことだと思います。

特に インドネシアでは会社の設立、ライセンスの取得など 日本では考えられないような面倒で煩雑な手続きもありビジネスがスムーズに進まずにストレスを感じることも多々あります。

 

Q6: インドネシアでビジネスを行う際に困ったことは何でしょうか?また、起業する際の注意点は?

成長している国ですので 毎年 給料が上がっていくのが当たり前になっており、逆に良い給料を払えなければ 次々と社員が辞めて行ってしまいます。
当時はまだビジネスが軌道に乗っておらず、給料を上げていくことが難しく社員の半分以上から一斉にやめたいと言われた苦い経験もあります。

お金の問題も多くあり、納品したシステムの料金を払っていただけなかったり、社員に騙されお金を取られたこともあります。

また日本とは違い、バリ島ではバイクで移動することが当たり前なのですが、バイク事故を起こして命を落としかけたこともありました。

 

Q7: 起業してよかったと思うことは何ですか?

経営をしていると日々辛いことの方が多いのですが、自分の会社をやっているとかけがえのない瞬間に巡り会うことができます。

現在は子供向けのプログラミングスクールを経営しておりますが、新しい店舗をオープンし 多くの子供たちが笑顔で勉強している姿を見られた瞬間は私にとって幸せや事業を頑張るモチベーションとなっています。

昨年はパンデミック明けのタイミングで創業時から苦楽を共にしてきてくれた社員たちを日本に連れて行くことができました。自分のやってきたことが少しでも誰かの人生にとってプラスに働いていると実感することができ、自然と涙が溢れてきました。

 

Q8: インドネシアと東南アジアへとビジネス展開以外に、中東のエジプトでのビジネスも展開されていますが、なぜでしょうか?

成長著しい 東南アジアは大きな可能性を秘めていますが、競争環境も激化してきており 次の新たなマーケットとして中東に注目しています。エジプトはMENA(Middle East and North Africa)と呼ばれる イスラム教 アラビア語圏 マーケットにおいて最大の人口を誇る MENAのインドネシアだと考え、このマーケットで挑戦することを決めました。

まだ始まったばかりですが、まだまともな教育サービスが少ないこの国では、我々が提供するサービスはとても新しいもので、多くの方に興味を持っていただけています。

 

Q9: もし、今のビジネス以外に新らしくメキシコでビジネスをするとしたら、どんなことをしたいですか?

私は ITと教育にフォーカスしてビジネスをしておりますが、それ以外にも テクノロジー X ○○というビジネスはまだまだ大きな可能性があると感じております。

例えば フードテック、日本の料理はすでにかなり人気で多くの日本食レストランがありますが、まだ味の標準化、品質の担保、生産性の向上といった点で多くの改善ポイントがあると感じます。そこにAIやロボットなどのテクノロジーを持ち込むことでイノベーションが起きる可能性が高いです。またそれ以外にもアグリテック、ウエストテックなどテクノロジーを使って社会の課題を解決できることは無限大にあるように感じます。

 

Q10: インドネシア、また、その他の東南アジアの子どもの教育への熱意は、日本の子どもと比較するとどう違うように思われますでしょうか?また、展開している国の中だとどの国の学生が一番、熱心でしょうか?

インドネシアなどの発展途上国の子供たちの教育へのモチベーションは日本と比べて まだかなり低いと感じています。日本では受験という特殊なプレッシャーがある中で塾や 予備校などのサービスが必要以上に加熱している感じがあります。発展途上国では教育の大切さを親や子供に理解してもらうだけでなく、学ぶことは楽しいことだという考えを子供達には感じて欲しいと思っています。

どの国が一番熱心という言い方は難しいのですが、東南アジアという中で考えると チャイニーズ系の華僑と呼ばれる人たちの教育への熱、投資マインドは凄まじいものがあり、もしかしたら 日本よりもその意識は高いかもしれません。弊社のサービスでも多くの華僑の方が通っていただいています。

 

 

Q11: 最後に、これから起業しようと思う人たちへのメッセージをお願いします。

「行動あるのみ」

私は日本で ごく普通の学生 サラリーマンでしたが海外で起業し全てが変わったと感じています 。一番大切なのは 挑戦を恐れずに行動する力だと思いますし、行動するのであれば 少しでも早く行動した方が良いと思います。

「クレイジーでいい」

私の場合は外国人としてインドネシアでゼロから起業したので、周りの日本人からは頭のおかしなクレイジーだと思われていました。しかし本当に世の中を変えたり、大きなインパクトを与える人は皆クレイジーだと思います。人と違うことを恐れずに、誇れるようになる時が来るはずです。

「夢のアップデート」

夢もなくごく普通の人間だった私が、今では多くの企業様や子供達、そして沢山の社員のお役に立つことができています。昔は生きていくことで精一杯だった自分が、今は自分の教育を世界中に広めて21世紀のKUMONさんになる事を夢見ています。

私の最後の目標はインドネシアで自分の理想の大学を作り、この国の才能のある若い人が安価で学び卒業後は日本で働ける道を作ってあげたり、日本の若い方々が飲み会だらけの大学生活の代わりに安価に海外で留学できる、そのような教育サービスを作って新たな社会の仕組みを作りたいと考えています。

皆様もどうか自分の可能性を信じ、世界中の困っている方のために勇気を出して一歩踏み出していただければ幸いです。

最後になりますが、我々もまだまだ日々挑戦しているスタートアップ企業の一つで、夢を叶えるために多くの方の助けを必要としております。弊社が東南アジアや中東で行なっているシステム開発、IT教育、人材などの事業に興味を持っていただいた方はぜひ気軽にご連絡いただければ幸いです。

 

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