海外起業家(北米編) 海外起業家インタビュー

海外起業家インタビュー(アメリカ・グアム編)Hisashi Watanabeさん

Hisashi Watanabeさんへのインタビュー

1977年生まれ、岡山県出身。 高校時代にアルバイトとして入った焼肉店で接客業の楽しさに目覚める。バーテンダーとして修業を積み、幾つかのClubやバーのマネージャーを経験。 2002年、渡米。アメリカでの実績がなかった為、レストランの下働きから始める。 その後、幾つかのバーやレストランのマネージャー職を経ながらキャリアを積み、ホテルレストラン3店舗の統括ジェネラルマネージャーに抜擢される。 同時に、フリーのレストランコンサルタントとして新規店舗の立ち上げを複数サポート。 2010年、グアムへ移住後は、ホテル内ライブハウス、ワインショップ&バー、和食レストランなど様々な業態における複数の事業立ち上げに携わる。また、グアム移住の主目的であるカレー屋はオープン後一ヶ月で既に繁盛店になっており、春先には2号店のオープンを控えている。

会社:Oishi Japanese Curry House
ブログ:グアム在住レストランコンサルのグアムのおすすめ情報ブログ

Q1: 現在、どんなビジネスをされていますか?

アメリカの準州であるグアムで、飲食店のコンサルタント及び飲食店(カレー屋)の経営をしています。

 

Q2: 起業したきっかけは何だったのでしょうか?

昔から起業したいと思っていましたが、可能性のある場所があり、そこで自分のもっている物が全て発揮できると思ったからです。

 

Q3: なぜ、グアムで起業しようと思ったのですか?

ロサンゼルス時代、アメリカの大手ゼネコンで働く知人から、沖縄米軍グアム移転の話しを聞きました。 直感的になにかひっかかる物があったので調べてみると、沖縄在住米軍約8,000人、家族等を合わすとおよそ20,000人程がグアムへ移転(移住)してくる事を知りました。 さらに調べて見ると、その当時のグアムの人口が約130,000人、すなわちグアムという小さな島に15%程の人口増加が近いうちに起きる、という予測を思いつきました。更に前出の某ゼネコンに勤める友人(実際こちらの会社はグアムへ進出しています)曰く、基地関連の建設にあたり、建設作業員がグアムの労働者では賄えないので、近隣諸国から数万人規模でグアムで出稼ぎにくる、と。そうなれば、人口増加が数十%になり、これは局地的な人口爆発だ、と考えました。

凄いチャンスが眠っているかもしれない、と直ぐにグアム行きのチケットを購入して視察に飛びました。実際にグアムへ来て見ると、その当時の飲食店は日本からの旅行者を賄う程度の店舗数しかなく、これはいけると思いました。また、当時は飲食店のレベルが決して高いものではないように私には思え、十分市場に参入することができる、また勝算があると思いました。

取り敢えずグアムで飲食店をやろうと思い、さて何をしようかと考え幾つか候補がでました。 その中の一つがカレー屋です。これは日本のココ一番カレーの日本国内全店舗の中で、売上高の1位が沖縄店だという記事を読み、調べてみるとその店舗は米軍人でいつも混んでいることを知りました。ターゲットがあてはまった訳です。

次にオペレーションの事を考えました。海外での経験から簡単なオペレーションやレシピでなければアメリカ(グアム)の労働者では運営できないからです。グアムでもある材料で、誰が作っても味が変わる事のないレシピを半年ほどかけて試行錯誤、完成したのでグアムへ渡りました。

Q4: 最初の起業資金はいくら必要だったでしょう?

カレー屋出店費として約$80,000です。

 

Q5: グアムの起業環境について教えてください。

資金ゼロからでも起業はできますが、事業立ち上げのコストはアメリカ本土よりかかると思います。

材料等を、島外から輸入しているので、全てにおいて割高だからです。 資金ゼロで始められると言っても、アメリカの場合起業しても、そこで自身が働く為には労働許可(ビザ)が必要になり、起業はできても働けないという現象が起きます。 起業と就労は別物という認識が必要です。

また、電気・ガス・水道等は、住民の負担を減らす為に、企業のほうが料金が割高になっているのは他と違うところかもしれません。

 

Q6: グアムでビジネスを行う際に困ったことは何でしょうか?また、起業する際の注意点は?

先ず第一に、島(村)社会であるということ。

コネや情報がなければ物事が進んでいきません。また、噂が千里を走るので気をつけるところだと思います。 また、アメリカ本土や日本では必要な情報はネット等で得られますが、グアムはネット上の情報が少ないと感じました。業者を探すのも、人づてが多いです。

第2に、地元業者は仕事が遅く、期限もあってないようなもの。

従ってスケジュールが立てにくく、予定より相当遅れることが多いです。 これらは、期限や仕事に対する認識の違いなのでしょうが、ビジネスにおいても期限(時間)には遅れてもよい(仕方ない)という認識があり、一つ遅れると、その連鎖で次も更に遅れるという連鎖に陥ります。

グアムの特殊なところは、正当なクレームでもあまり効かないということ。

あまり強くクレームを入れてしまうと、相手の機嫌を損ねかねず、仕事をわざとゆっくりする状況になったりします。 正当な理由があっても、相手の機嫌を損ねない様に、上手に最後迄仕事を完了してもらうこと、それがこちらにとっては最終目的だということを忘れてはなりません。

 

Q7: 起業してよかったと思うことは何ですか?

全てが自己責任なので、自分のスタイルが通せるところです。 また、時間の拘束がない、ということでしょうか。 といっても、起きているときは常に仕事をしているようなものですが。

 

Q8: もし、今のビジネス以外に新しくグアムでビジネスをするとしたら、どんなことをしたいですか?

それは教えられません。

グアムは市場が狭いので、一つのビジネスを大きくするのではなく、一つのビジネスを足がかりに他の業種・業態にも広げていくことが大切だと思っています。すなわち。私にとってコンサルタントとカレー屋のビジネスはグアム事業の最初の一歩目です。 ちなみに、飲食業態でいうとカレー屋の他にも今進めているものだけで3業態の飲食店を今年中に立ち上げる予定です。これは、弊社直営のものもありますし、他出資者とのジョイントのものもあります。 業種としても、アイデアを公にすることはいたしません。

グアムはまだまだチャンスがゴロゴロと転がっている市場だと思います。しかしながら、狭い市場なので良いアイデアがあれば秘密裏に動き、その市場を早めに押さえることが肝要だと思います。

 

Q9: 最後に、これから起業しようと思う人たちへのメッセージをお願いします。

1、現地調査を時間をかけて徹底して行ったほうが良いと思います。

海外へ調査に出かけるのは出費が重なりますが、このお金をケチるばかりに見当違いな事を始める方が多いように思います。もし信頼できる現地の事情通やコンサルタントがいるのであれば、その方を雇う、またはお金を払ってでもじっくり話しを聞くことが結局時間の短縮や出費も安くついたりします。自分のビジネスの売り込みととられても結構ですが、無料で得られる情報はやはりその程度の情報であり、お金をかけなければ有益な情報というのは得る事はできませ。これは人材と一緒ですね。

2、自分がやりたい事ではなく、人が欲っしている事は何かを考えたほうが良いと思います。

「自分」は購買者ではありませんし、もっといえば、その国では「自分」は外国人です。外国人=少数派がやりたい事ではビジネスにはなりません。

3、海外での起業の場合、計画時に1年後、5年後、10年後のイメージを持っていることが大切だと思います。

1年後はそのモノが売れるかどうか、5年後はそのモノが流行っているかどうか、そして10年後はその会社を売る(閉める)のか大きくするのか、という感じです。

 

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